ノート(鏡矢)/
木立 悟
見え隠れする明るい夜が
一羽一羽に分かれ飛び去る
壊れた家から波を見ていた
傾いだ家から曇を見ていた
鏡の道に葉は落ちて
緑の上に銀はひろがる
小さくざわめく音は集まり
野は浅瀬のように静まりかえる
歩みはじめたものの前で
曇は曇を 野は野を巡る
崩れた家から崖へとつづく
夜のまぶしさと悲しさの道
生まれては還るはばたきたち
静けさをつくる小さな音たち
しっとりとした黒の手のひら
夜を引き寄せ 夜を放つ
[グループ]
戻る
編
削
Point
(5)