あれは春じゃない/
しろいろ
こめかみにあてたガラスのピストルの引き金を君に引いてほしいの
さびしさに湿った獣を飼っている、解かれた鎖、と投げ出した足、
両親の祖父母の曾祖父母の骨でできたリコーダーを吹く小学生
この部屋は割れた記憶が散らばって切った素足をまだあいさない
ただひとつ残された歌のタイトルは改行するうち見えなくなった
交差するエスカレーター緩慢なやさしさはいつもすれ違うだけ
間違って指さして、あれは春じゃない、低温火傷の白昼夢だよ、
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