ためらう傷/nakahira
端から見れば私達、透明になっていく。細胞だとかが出来た時から怠け者となじられていました。胸の苦しさの原因は、ワインの瓶を飲んだから。社定時速を超えて加速していく、行く先々に上司のデスク、キャラメル色の肘掛け椅子。べたついているのは、皮膚じゃありません。顔色と投げ落とした目線です。飴を渡され、握れ、と囁かれます。ラムネがこぶしの中で潰れたので、私は手の甲を100円ライターで焙って、白煙をいまかいまかと待ち望みます。毛だらけの壁から伸びたハンガーフックを、くわえろよ、と妻が命令されます。私の知らない男に。知らない所で、何かが始まったり動いたりしているのがとても気持ち悪くて、銀河をビーダマぐらいのサイズにしてくれたら、肛門に入れたりして遊ぶのに。飽きたら慣れた手付きで捨てるから、野良犬が間違って飲んでしまえばいい。胸が苦しいのは、
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