日常のひとくち/________
 

そんなもの、と思った
くだらない
直視できずにうつむいた
若さを消耗している途中、それが今日のこと




わたしがかつて
人差し指にくるくると巻いていた、
彼の襟足はもう随分短いまま
毎日スーツを着て歩いていると言う
「あまり好きじゃない」街のなかを
鼻息でためいきつく癖
誰かの歩きたばこの煙が絡みつく
大人が目にしみる

満員電車のなかで開いた
文庫本のページから
毎日少しずつ文字を落としている
気づかれずに誰かに踏まれて

からだじゅうの細胞が
泣くのを我慢しているからとても重い
駅のホームには
暖かい明かりは似合わない

思い描ける
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