正走曲/佐々木妖精
目の裏で模索していた
切り刻まれた腕を膝に乗せてきた
ニキビに包帯を巻いたきみすら押しのけて
彼だけが日向でシャンプーをなびかせる
放熱する皆の赤子だ
目つきの先で待ち構える
進路を正面で見つめている
顔を読み
つま先のバーコードで蹴り上げ
地雷をひっくり返し焼却する
蟻が瓦礫を跨いでいく
気づかれない気配りってのに目覚めたんだ
彼と友達になりたくてそうしてた
ベンチへ落とした涙が煙たかった
笑うしかなくて笑っていた
夏は足跡すら残さなかった
春なら一緒に泣いてくれたのに
俺には今が果てだけど
きみには明日が差し込むだろう
ガン
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