こときり/いとう
こときり
それは一片の山が独りの溜息でさらりと崩されていくような!
こときり
それは深海の底の一握の砂が自重で潰れながらマリンスノーの夢を見るような!
こときり
それは小指の爪が出会う麒麟にも似たイマジナルな物質の浮遊に匹敵するような!
こときり
それは小高い丘の果てで人知れず枯れていく草々が想うまだ見ぬ星々の煌きと瞬きのような!
こときり
それはファンダメンタリストが自身の手の皺を見て思わず口ずさむ遠い日の母の歌のような!
僕たちが未だ僕たちを超えられないことを思へ!
僕たちが未だ超えられない世界に浮遊することを思へ!
僕たちが未だ浮遊するが故に上昇も下降も同等で
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