Moonchild/ホロウ・シカエルボク
礼儀正しく、とんとんと二回)ドアを開けるとあの少女がいる
「おにいさんね、あそこにいたでしょ、みていたでしょう、あたしのこと」
彼女はそう言う―僕はどこでへまをしてしまったのかと考える、帰り支度が早すぎたのか…少女はすばやく僕の背中を見つけてついてきたのだろうか?それでね、と彼女は続ける
「それでね、おにいさんはおじいさんみたいなことをする?」
しない、と僕は答える、僕はそれだけは絶対にしないだろうと感じたし、なによりも僕はさっき実験的に済ませたばかりだったから
「しない」僕がそう言うと彼女はいじめられたみたいにびくっとした、口調が少し強すぎたかな、と僕は考えてみた
「わたし、かえったほうがいい?」そうだねと僕は言う、もうずいぶんな時間だけれど
「暗いところは怖くないの?」
「くらいところってなに?」僕は言葉を失う―少女は少し眠たそうにしている「おいで」と僕は言う
目が覚めると、少女の姿はなかった…シーツの上に、おびただしい血痕だけがあった
誰の傷だ……?
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