かえる ほとり/砂木
 
暮らしてゆく
かこいの上

眺めると流れがある

土から 
かえるためだけに
乞う 涙ではない

吹きなれた風の足が
ところどころ 無くした
甘いくぼみに にゃーと泣く

逆らわずに
避けられずに
朽ちていった笑みのほとり

かまわずにおいていって
約束だけ残して

水脈の途切れた土地の
枯れない孤独

包むものもなにもないけれど
眼を閉じて 囲う夢の街

眺めると 眠る川
流れる 真昼


戻る   Point(8)