楔/具壱言
 

幾度も幾度も
諦めようとしたけれど
その度 その度に
それは
僕の胸を揺れ動いて
ただ 痛みの記憶を刻みつけてゆく


きっと そこに僕はいないよ
君を待つ未来は、温かくて、優しいけれど
それは 僕に与えられるべきものではなくて
君のためだけに 其処にある


君と僕を繋ぐのは、ひどくちっぽけな約束
いつか 君がふいに言っただけの小さな約束
叶えられるはずがない約束
痛みの、楔


叶うはずないのに
叶えられるはずもないのに
逃げ出したいのに
楔だけが心を繋ぎ止めていく


小さな痛みだけが
僕の支え
いつか描いた未来に擲つ
自らの楔

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