You Are Not Alone:ハーモニー・コリン『ミスター・ロンリー』について/2TO
ソンを表しているのは、主人公のマイケル・ジャクソンではなく、むしろアフロヘアでスケベな黒人少年の方であろう(この子の芸には爆笑できる)。ただし、それはマイケルが切り捨てた「黒人」という(そしてその典型的な)表象としてなのだが。}という「ニセモノ」を選び、そこに「見せかけ」のペシミズムを描き出す。だが、それは「映画」という「虚構」をメタ的に暴く仕掛けであり、さらにその本質的な「価値」に対して仕掛けられた罠でもある。つまり『ミスター・ロンリー』は、たとえそれが「虚構(ニセモノ)」であってさえ、それでも私たちにとって「価値」をもつということを逆説的に映している。そのような「価値」こそが、ミスターそしてミス・ロンリーにとって日々を生きていくことの「奇跡」であることを、いみじくもメイクを落としたマイケル・ジャクソンの微笑みは示しているのである。
For You from "Mr.Lonely"
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