自殺志望の友達へ贈る詩/吉田ぐんじょう
 
もこんなに沢山の人が死にました
だけれどわたしたちは生きています
世の中もそんなに
捨てたもんじゃないですよ

さっきから人は一人も通らず
手も汗でぬるぬるしてきて
ヤマトノリはもうなくなりそうだ
それでもわたしは止めないのだ
今日は大変夕暮れがきれいで
人間の血なんかとても及ばないくらいの赤さで
これを見るためだけにでも
生きていた方がいいんじゃないか
そう思って少し泣いた

泣いている途中で犬が来て
電信柱におしっこをひっかけていった


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