自殺志望の友達へ贈る詩/吉田ぐんじょう
この頃は
新聞の死亡記事を切り抜いて
町内の電信柱に
べたりべたりと貼り付けることにしている
今日もこんなに沢山の人が死にました
毎日毎日人は死にます
これだけの人が死ぬ中で
わたしたちが生き抜いているのは
奇跡と言えるのではないですか
ただそれだけのことを
言いたくて
だけれど町内にはもうほとんど
人は残っていないのである
みんな世を儚んで
自殺したり発狂したりお酒や薬を沢山飲んだりして
きちんと立って歩いているのなんか
犬くらいしかいないのである
それでもわたしは今日もまた
死亡記事を切り抜いて
町内の電信柱に貼ってゆく
今日もこ
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