胎内帰還/
山中 烏流
開かれようとして、閉じた唇
瞬いたあとで、すぐに
滑り落ちてしまうから
私はいつだって、
それを
生と呼んだ
白濁の瞳
水の底で佇む、魚
その
地を掴んだ尾びれは
どこまでも、白く
(流されて、いた
溶けて、
しまうのだと
******
跳ねた音/揺らぐ、
私は水底へと、
呼応したままで
俯せる
(足跡は、遠く
気付いただろうか、
その爪先は
きっと、儚過ぎるほど
白い。
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