胎内帰還/山中 烏流
湿る度の、音
響いたあとの名残は、
何かしらのかたちで
沈んでいく
(奥底で
(深々と眠りつつ、
震える指先は
鼓膜をなぞりながら
(呼吸を、
ひらめいていく
******
視界は
振り向いたあとで、
どこまでも透明だった
小さな部屋の中で
瞳だけが
しっかりと、泳ぐ
鮮やかな体温が降る
その、掌の上で
いつしか私の呼吸は
幻になっていた
なっていた、から
、そして
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葬った視線に
胎動は
瞬きを許さない
閉じようとする度、
開かれるという常
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