ほんとうのことを/ふぁんバーバー
詩のなかでは
ほんとうのことを言おう
どうしていつも
口を出ることばは
わたしをうらぎるのだろう
わたしからとおざかるのだろう
つたえようとするきもちから
どんどんどんどん
つっかえて
どもって
影ばかり大きくなり
きょうわたしが言ったことばは
すみません
ありがとう
それだけ
ヒーターを消し忘れた部屋にもどり
ぺたんと腰をつくだけ
かげぐちなんてきかない
なのに
口からでたことばは
人をとおざけ
わたしのこころを
深くきずつける
だから
せめて
詩のなかでだけ
ほんとうのことを言わせて
ほんとうのことだけを
間違えたら
言い直す
つっかえても
どもっても
うそのないほんとうのことだけ
ほんとうのことだけを
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