「奥へ」/
菊尾
すぐ傍を、はぐれた灯籠が通り抜けていく
今からはあれを目印に
言葉がこんな泡みたいに目に見えていたら
僕たちはまだ残れていたのかな
もう少しは届いていたのかな
真っ暗な中、水面に浮かぶ灯りを見た
あれは追っていた灯り
不意に視界が塞がれた
これは君の靴
遠くなる
苦悩した今までも
途切れさせなかった温もりも
サイズが小さい君の靴も
最後に観たのは
唇と鎖骨と
此処より深い
その瞳
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