嘘つき小唄/木屋 亞万
「嘘をつく
唇からクラッカー
弾けるように
笑いながら
ついた嘘は
服に降り懸かる
染み付いて
取れない
匂いのような」
(なぜ嘘が
必要なのだろう
嘘を求めていれば
好物にありつける
妙な先入観と
満たされぬ空腹感)
[嘘は真実という名の現実から心を守る
傷付きを防ぐために造られた本音の擬態した姿]
『剥き出しの本音は福音のような嘘と混ぜて示しなさいな
さもないと不協和音や騒音に狂わされましょう
心音を調律するために胸を弾き続ける事を
どうか許しておくんなせえよ』
【ただ喉は鳴り 舌は探せど 嘘の出る この口ばかり 憎くらしく 唇噛むと 耳鳴り 響く クラッカー】
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