白黒/ソラノツバキ
 
たまに窓のむこうから
春の風がやってくる
なんだかはやく起きすぎて
胸のあたりが窮屈だ
やることないからテレビをつけて
それにもあきて漫画を読んだ

年老いた木の下では
大きな影が夏を隠した
少し足を踏み出そう
公園までふたり歩いた
舌足らずなことばだけ
闇をつたって胸に響いた

伸びていく影を追って
夕焼けにたどり着く
代わりばえしない毎日が
そっと光を翳らせる
寂しい夜をさまよって
月明かりをそっと愛した

消えてく思い出数えては
流した涙を探してた
やがて空は真っ白になり
手のひらに闇があふれた
風がむりやり光をさらい
残った君を思い浮かべた

あれから
お変わりはないですか
アスファルトみたいな肺で
今日もあしたを目指します
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