ノート(白歩)/木立 悟
 


何かを残して
鎮まる波たち
無より冷たいうつろたち



灯りのない窓に映る灯りは
尽きることなく底なしに深く
目をそらすことができないでいる



黄色い紙に黒い線
白に桃に肌に蒼
わたしの鉛と踊る二文字



廻りながら飛び立つ水
飛び立つ水を廻るもの
現われては去る紫の冠



前触れもなく終わるのだろうか
誰がそれを見つめるのだろうか
ひとときひとときが道を揺るがす



無くなった家から来る風が
水に混じって流れ落ちた
空は分かれて揺れていた
道は分かれて揺れていた



夜を背にした歩みの真上
枯木のかたちの歌声たち
行方と足跡にそそがれる星



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