カルマちゃん/N哉
 
タバタ活劇を繰り広げている、一人で。言葉を失いドMとなり果てたおれにその2D然とした2頭身が、あることないこと吹き込んで。

「私のこと好きでしょ?」

 「全然」と言ってやろうと思ったが、言葉を捨てたおれはおとなしく頷くしかなく、カルマちゃんは赤面する。

「そういうのすごく困るの」

 彼女の存在が、どんな理屈でここにあるんだか解らないが、「世の中に嫌気がさしました。だから死のうと思うんです」なんて言ったら彼女は指さして笑うだろう。
 最終的には横からの高波でもっておれの舟は転覆、随分と海水を飲んだ。しかし落ちてみるとそれはそれで覚悟もついた。滝が大口を開き「ようこそ」おれは諦める。

「でもあなたの事、嫌いじゃないよ」

 カルマちゃんは空気が読めない、そこが良いのかもしれないな。彼女も詩なんだろうかと考えてみた、そうしてみると世の中が少しだけ面白く見えた、もう手遅れなのに。

カルマちゃん【21】より

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