批評祭参加作品■回り道、つぶやく。 ??五十嵐倫子『空に咲く』について/岡部淳太郎
 
感じは/そう/たぶん」とひと言ずつ改行していく部分と、「それが茜色に染まって 私の中の霊がふるえるんだ」という一行も相変らず危うい感じがある。そして「友達みんなにメールを送る」のだが、それは自らの悲しみを確認すると同時にそれへの代償行為であるように見える。それにつづく「『お元気ですか? お変わりありませんか?/私に届いた悲しみは、あなたのものではありませんか?』」という問いかけは、「友達」への問いかけというよりは自らに向けての問い直しのように響く。そして、この詩は「悲しい人いませんか?/悲しい人いませんか?」という問いかけが繰返されて終る。この問いかけも、自らへの問い直しであり「悲しい人」は結局自
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