批評祭参加作品■砕かれていること/石川和広
作品を提出するときに、やっぱり自分だけではこれがいいものかどうか、とても心もとない気がいつもしています。
僕はおうおうにして物知りのように大きく語るわけなんだけれど、何となくいいものだという予感はあっても、どきどきする。作品を出すというのはこの弱気の虫があるから尊いのではないかと思ったりする。
ニーチェや最近ではバタイユにひかれるのは、彼らは自分の着想に自信を持っていた反面、自信のなさや、仮説を立てては、ああ、ちがうという予感に砕かれて、何度もやり直すということがあるからだ。
バラバラに砕かれて、頭が真っ白になって、へたりこんでしまう。こういう体験が彼らのテクストの表面
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