イチキュッパ/ぬ
命に値段はつけらんないらしい。
じゃあ、僕のこの、カワイイ子は命じゃなくてなんだろう。
お金で買えるイキモノは、命じゃないんだろうか。
考える。
命に値段をつけるのはニンゲンだけだ。
つけられた価値を、その命は知らずに暮らす。
デパートでカブトムシがゆってた。
「ニンゲンって、ばかだねえ
あんな紙切れの約束に
いつまでも振り回されて…」
公園の鳩もゆってた。
「この場所もあなたたちに貸してあげる
私たちは飛んで行けるから…」
ニンゲンはちょっと複雑にしすぎる。
本当に大切な事は
いつだって単純なんだ。
海と風と空と、消えかかった月が宣う「凡て命は等価」を、
僕は居眠りの中で聞いた。
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