七年/佐々木妖精
 

ポールの上に
脚立を置いたように不安定で
脚立のてっぺんで
自転車を持ってきてしまったことに気付くような
要領の悪さもあったから

だから

あまりに痛むようなら
捨ててかまわない
義足も棺桶も燃やしてしまうし
一人分の料金で
折りたたんで観光にだって行く
たぶん死者は
いつの時代も
生きている者たちが
墓場まで連れて行くもんだ


生活を工夫する苦痛が
死への恐怖を上回ってしまったら
死ぬ以外の突破口を知らない
かつてきみが示してくれた
そのロープしか知らない

あの世と魂を信じないのは
思想ではなく都合だ
死んだ時の保険でしかない
あればラッキーなんだ
ないと思っといて
あったら飛べるだろ
どこまでもどこまでも浮いていくんだ
羽毛よりも軽いんだ

墓前でカラスと
餅を奪い合っている
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