批評祭参加作品■食い違う夢 −『私たちの欠落(夏の日の)』藤丘 我流読解−/大村 浩一
 
 食い違う夢 −『私たちの欠落(夏の日の)』藤丘 我流読解−


 批評祭に寄せて、ふたつの文章を書く構想でいた。ひとつは、フォーラムの
外で書かれたものについて、もうひとつはここに書かれたものについて、だ。
 外のひとつには諏訪哲史の『アサッテの人』を選んだのだが、あまりに重厚
で(この小説は散文詩として読むべきだ)短時間ではとてもモノに出来ないと
分かり、後日改めて挑戦することにした。いまは冒頭に引用されたアルトーの
『精神の秤』を取り寄せている。芥川賞の、詩に無理解な男性の選考委員ふた
りの酷評のためか、この小説は半年経っても不当に低く評価されたままだが、
人がことばを発
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(8)