夏泊海岸/たりぽん(大理 奔)
 
ずつ焚き火にさしいれます
それは、さっと焦がされて
渡り鳥のあとを追います
まだか、まだか、と
ばらまかれた雪が
また飛ばそうとします

手紙は二十七分で一通になりました
最後の言葉だけは読みました
それはいつかの暑中見舞いで
他愛のない紙切れでした
右から焼けば、終わりが切なくて
左から焼けば、始まりが懐かしくて
目をつぶって投げ込むと
焦がされることもなく
渡り鳥のあとを追っていきます

潮風が防風林で
今日、手紙を焼いています
声をさがすように
ひとりぼっち



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