夏泊海岸/たりぽん(大理 奔)
潮風が防風林の松を
まだか、まだか、とたたいて
浜辺で手招きする海が
防波堤でばらまいています
ひとりでくる浜辺が
こんなに広いとは知りませんでした
小さい岩のあるところ目指して
真っ白に見える流木を集めながら
歩いていきましょう
あしあとは轍(わだち)ではないので
とぎれとぎれですが
たどり着く場所まで
迷子にはならないでしょう
帽子が飛ばされてしまったけど
渡り鳥のように見えたので
そのまま林の向こうにきえていきました
小さな岩陰でしたが
流木を積み重ねて火をくれると
とても暖かにゆるやかでした
カバンから手紙の束を取り出すと
数枚ずつ
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