たとえばの話/tatsuya999
「ぼく」がYで 「せかい」がXなら
たぶんYよりXになりたいと願うだろう
「せかい」はあるがままで とても無機質なものだとしても
YはXを選ぶだろう
自分で色を変えられるカメレオンなYは
あるがままで色を持つXに憧れて
魅せられて 奪われて
Xを求める
アイデンティティはいつだって
あるがまま なるがままでの美しさだけを見てる
Yはいつでも後手なんだから
無様に色を変えて 安心する
気づかなければ 知らなければ
きっと今でも輝く世界
YはXになるために
自分を否定していく
溶け込むように 消えゆくように
色を消していく
透明になったカメレオンは
ただ多色を体に写しているとも知らずに
消えた気でいるんだから
どこまでも 自分を知らない愚か者
思考に頼った 無様な姿
自分を知れば 憧れなんて 投影なんて
無意味で 無様で 劣悪品のオルタナティブ
価値も無い どこまでも続く輪廻のように
どこまでも どこまででもな
たとえばの話
戻る 編 削 Point(1)