宙車/木屋 亞万
寒い夜が
自動車の窓を
白く塗り固めた
凍える座席に
うずくまって
眠る冥王星
冷え切った恋が
空調の隙間から漏れ
助手席に当たる
疲れ切ったエンジンが
怨恨に二度空回りをして
息を重く絡ませる
照明の光る車が
正面からやってきて
窓を白く明らめる
手の平に乗せた
覚めてしまった目を
優しくにぎりしめ
息を吹き込めば
かじかむ指の隙間から
流星が噴き出す
弾力のある恋の
淀んでいる座席の下
砕けた星が舞う
冥王星は足で
冥界を掻き混ぜて
眠りについた
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