死がこんなに悲しいなんて/壺内モモ子
 
自殺しようと思った日に、おじいちゃんが死んだ
おじいちゃんとの思い出が
たくさんよみがえってきて悲しかった
ぼくが変わりに死ねばよかった、なんて思ったけれど
そしたらおじいちゃんが悲しむだろう

犬は元気
ときどき畳のにおいを嗅いで
おじいちゃんを探しているようだけど
涙がとまらないぼくに
やさしくほほえんでくれる

そういえばある日
犬と一緒に生きることについて語りあったけど
なんだか難しすぎたみたいで
尻尾を振って僕の顔をなめてきたのさ
犬は本能のまま、必死に生きているだけさ
ぼくもきっと同じなのかもしれないね

自殺しようと思った日に、おじいちゃんが死んだ
こんなに悲しくて
なんだか申し訳なくなって
のどのあたりが苦しくなって
涙がとまらないよ

犬をぎゅっと抱きしめた
戻る   Point(1)