批評祭参加作品■余白について考える試み/岡部淳太郎
取り出してみよう。基本的にどれでもいいのだが、文庫本やアンソロジーなどの類はなるべく避けようと思う。何故なら、それらはスペースを有効利用するためか余白をある程度圧縮してしまっているからだ。なるべくならそのようなシリーズではない初版本やハードカバーのものを選んでおきたい。そこで選んだのが、小説は黒井千次『K氏の秘密』(一九九三年・新潮社)、詩集が池井昌樹『一輪』(二〇〇三年・思潮社)、歌集が武藤雅治『暗室に咲く白い花』(二〇〇七年・ながらみ書房)である。詩集や歌集は時に版型の大きいものが見られるが、ここに挙げたのはいずれも小説と同じサイズの版型である(B6判。歌集『暗室に咲く白い花』のみソフトカバー
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