批評祭参加作品■いま詩を書くということ/岡部淳太郎
いつだって「いま」だった。「いま」の状況を見据え、「いま」の自分の心から導き出すようにして詩は書かれてきた。詩の歴史がずっとそうだったということではない。ひとりの書き手である私自身のことだ。私はいつも「いま」に縛られ、「いま」という時間に促されて書いてきたのだ。誰であってもそれが当たり前のことであるのかもしれない。人は過去や未来に生きることは出来ない。それらの違う時間を意識してはいても、結局身を置いているのは「いま」でしかない。だが、時おりそれが不思議に思えることがある。人は何故「いま」の中でしか生きられないのだろう。時間を飛び越えて歴史のような詩を、また予言のような詩を書くことが出来ないのはど
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