批評祭参加作品■ダイアリーポエム調の散文/mizu K
バーグ弁当に目星をつけつつ、それにパスタサラダでも、と思っている
と、その間に別の仕事帰りの同じく寂しい一人暮らしのサラリーマン風に最後の一個を持
っていかれる。そいつに殺意を覚える。仕方ないのでトマトとバジルとタンドリーチキン
のオムレツ味噌醤油味付け中華風という得体の知れないものを買って帰る。夜道は電灯が
寒々としている。誰も歩いていない。空は曇っている。大方、付近の工場が夜になるとこ
っそり煤煙を出すからだろう。東京は星が見えない、といったのはどの詩人だったか。
階段をがたがたのぼり、ためいきと一緒に鍵を出してドアを開ける。電気をつけるとま
るで代りばえのしない室内だ。携帯を
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