彼等のためのソナタ(香りつき)/千月 話子
 
なら 伝えてあげるよ

君の好きな窓の住所を聞いた
ブルーベリーガムの甘い息
曇りガラスに丸い文字
数秒したら消えてしまうし
何度でも「は」と言うよ

君の想いが伝わればいい
何度でも 何度でも

寒い朝 窓ガラスには
昨日書いた住所が半分
この窓にも あの窓にも
ボクの好きなカノジョの四角い窓にも

深い想いが少しずつ浄化していく

水蒸気は とても甘い香り




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