貴方の世界/N哉
 
貴方の言葉が小玉の辺りに浮いている
シーツはやがて真っ赤に染まり
その上にはペランとした貴方の皮だけが乗っていた

ベランダに干しながら
見上げた空には大きな貴方の生首が

すっかり貴方の世界に来てしまった

木々になる実に貴方の表情
落ちて潰れた貴方の表情
軒下に、屋根裏に
いたるところに貴方の貴方の貴方の貴方の

環状線に緩やかに流れる
「検討」と「反芻」は
貴方の大脳から、前頭葉から

耳の裏に隠れた貴方
囁く言葉
はためくシーツを皮を押さえながら
すっかり貴方の世界に来てしまった

小玉から耳へ
やがて私の脊髄へ
それは貴方の囁く言葉

「また今度」

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