海と空の間/doon
 
さが産み落とされており
 嘆くことを躊躇わせていくのだろう
 私はいつからか電球になりたかった
 いつか
 いつか訪れるよう
 ただ一つ突き刺さる空虚感が
 不確かに生への道標になっていた

 珊瑚は知らない 海の向こうに空気があることを

 人は知らない
 死の向こう側にある本当のものを
 知らないまま生き 知らないままに死んでゆく
 精一杯身体を伸ばし
 呼吸し 食し 子孫を作り 行き着く先まで生きていき
 やがて死んでしまう

 まるで
 私達は空気という 海に抱かれて生きる珊瑚の様だ
 その先の世界を
 僕らは知ることはできない
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