賢い魚/
亜樹
金魚鉢の中で
赤い魚は
悠々と泳ぐ
赤い魚は
そのまァるい
硝子の中で
壁にぶつかる
真似もしないで
悠々と泳ぐ
赤い魚は
立ち止まって
私のほうを
じっと見ながら
パクパクと
口を開く
その口からは
あぶくがあがる
彼の世界に
よく似た薄い膜
銀色に光る
丸いあぶくは
あがってはじける
赤い魚は
見失わない
自分が呼吸をしていることを
自分が生きていることを
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