批評祭参加作品■気風は断絶したか?/岡部淳太郎
稲川方人の「気風の持続を負う」(一九七七年)はちょっといい文章だ。荒川洋治の「技術の威嚇」(同年)への反論という体裁をとっているが、稲川の詩の書き手としての侠気というか使命感というか、論理を越えた真摯な気持ちが率直に綴られていていい。「やたらと状況論的把握に走りたがる思考は、人名と年次を並べてことを済ませる三文批評家と変わりがない」という荒川に向けられた痛烈な一文は、私にとっても耳の痛いものだ。稲川はここで荒川の「主体の態度がぬるい文章」を槍玉にあげつつ、「〈六〇年代詩〉以後という、少なくともわたしには粗末に出来ない題目を念頭に置きながら」そこから受け取ったもの(おそらくそこには愛着とともに異和
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