海猫交友日誌/朽木 裕
2008年1月某日
雪模様の曇り空
LARKの箱みたいな空の下
いつもの道を逆方向へ曲がり
果てしなく果てしなく進む その先、海
道路標識はややこしくっていけない
→(こっち)海、とか↑(あっち)山、とかだったら
私はひたすらアクセルを踏むだけだ
海へ 潮風の吹く場所へ
そうして眼下にあらわれた大きな涙の水溜り
私の哀しみを吸い取ってくれる場所
ああ生きている ゆっくりと深呼吸してそう感じる
打ち砕かれた幾多の貝殻のうえ
ふと目が合った海猫が一羽
「どうしたの、はぐれたの?」
「ね、写真撮らせてよ」
「大丈夫だからもっとこっちおいでよ」
海猫相手に手招き手招き
首をかしげたあとちょこちょこと
寄ってきてくれた海猫が愛しくて愛しくて
今日ここへ来たのはこの子に会うためだったのかな、
なんて考えすぎかな
もしかすると誰かの生まれ変わりとかだったりして
大切な大切な貴方の次の世かもね
「私は元気だよ」
「だから心配しないでね」
羽をふるわせる海猫
1、2分が1時間にも思えた或る冬の日のひととき
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