批評祭参加作品■現代詩の記号論2/葉leaf
論的コードの拡張である。
次に、Ex2bについて。河津聖恵の「grazia…」から次の箇所を引用する。
この夜にほとばしる無は声を高め
時間を抜けおちる光は卵色から銀色へ
無は、論理的にはほとばしったり声を高めたりすることはできない。無は存在しないからである。また、光は、論理的には時間を抜けおちることはできない。時間は場所ではないからである。「ほとばしり声を高める無」「時間を抜けおちる光」は詩人が新しく創造した記号表現であるが、選択制限を破っているがゆえに、論理的には無意味であり、慣習的な意味を持たない。だが詩人は、こういった記号表現に、比喩として何らかの「記号内容的なもの
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