批評祭参加作品■現代詩の記号論2/葉leaf
実践的世界での記号を「シグナル」と呼び、人間的観想的世界での記号を「シンボル」と呼ぶ分類もある。たとえば交通標識のように行動を支配する記号がシグナルであり、哲学用語のように人間の思考でもっぱら使用されるのがシンボルである。
さらに、「既成の記号」と「新しい記号」という分類を立てることも可能であろう。既成の記号とは、社会的慣習的にあらかじめ表現と内容の対応関係が定まっているものである。言語記号の大部分は既成の記号である。それに対して新しい記号とは、たとえばある昆虫の特定の行動(記号表現)に対して生物学的な機能(記号内容)を新たに見出すときに生み出されるものである。詩人が独自の隠喩表現を使って独特
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