批評祭参加作品■現代詩の記号論1/葉leaf
 
と呼ぼう。人の「情緒」は人のひとつの役割である(これは、「情緒は人の果たすべき役割である」という意味ではない。情緒が人に対して何らかの役割を果たしているのである)。カツ丼の「味」はカツ丼のひとつの役割である。「微妙な具合」は、直接的には情緒と味とを比喩的に結び付けている。だが、情緒は人の構成要素(役割)であり、味はカツ丼の構成要素(役割)であるから、人とカツ丼は、構成要素間の比喩的結びつきを媒介として間接的に結びついているのである。多くの隠喩では、このように、第一項(「人」)と第二項(「カツ丼」)が、それぞれの項の役割(「情緒」「味」)を通じて間接的に結びついている。結びつきを媒介しているのはそれ
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(6)