ダンデライオン/草野春心
毛がはえて
羽がはえて
とんでいって仕舞うのは何
根を絶たれ
芽を摘まれ
それでも咲きつづけるのは
屋上にたたずんで
日記帳を焼かれて
関係ないぜと笑った
不完全なやさしさを
何度負けても気づかない
馬鹿みたいな強さを
きみはゆくのさ
春の響くほうへ
夏の叫ぶほうへ
秋の沈むほうへ
冬の眠るほうへ
きみはとんでゆくのさ
そうだろ?
もうなんにも戻ってこないこと
だれの胸のなかにも
きみがとどまらないこと
ちゃんと知ってるんだ
バイバイ
きみの憎まれ口が好きだった
バイバイ
舌がはえて
口ができて
なにひとつ言えないのはなぜ
足がはえて
はじめて世界に立って
たくさんの涙がこぼれたのは
なぜ?
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