無題09/ねろ
感情の底を
両手に掬い
泥の船を捏ね
漕ぎ出でようと仰ぎ
ソラを象る繊維は翻る
そこに歪む黄金の
虚ろな一つ目鬼が
無邪気な一人遊び
指差しごっこ
あの第二関節に
止まっている極楽鳥は
船人の歌を胃袋に抱え
ふくれ巨大に伸び
その時破裂した
轟きは眼前の河
出ずる元は釈迦
是の反吐と謳うが
強酸の雨に
極彩色に身体は
褪せ行くばかり
足元の
船を見やればとうに
形無く黒々とした
膝と雨粒の混ざり合い
反吐と心臓の鼓動もなく
それも流れ行くばかり
ヘドロからの船人達
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