外は月夜で/佐々宝砂
 
たとえば外が見渡す限りの草原で
はるか遠い地平線のうえ
まろやかな月が重たげに光っているなら
外は月夜で
という古い唄をうたってもいいとおもう

あるいは外が見渡す限りの大海原で
薄暗いカーゴからゆらゆらする甲板に出て
どうしようもなく明るい月を見上げるなら
外は月夜で
とうたってみてもいいんじゃないかとおもう

外は月夜で
外は月夜で

ちらちらする白い画面を見つめながら
窓の外の月を想像する
今夜は確かに満月で
外は月夜で

だけどうたえない
ここではうたえない

外は月夜で
戻る   Point(2)