esquisses/鴫澤初音
 
た思い出は
 私たちを決別させることはないのだと、
 私たちは知っているから
 
 あの過去の素晴らしい思い出は私たちには
 決して枯れない泉みたいなものなんだよね?

 だからゆうちゃんは私を特別な名で呼ぶし、
 私はゆうちゃんの側で眠るんだ

 私たちは思い出だけで 繋がっているのだけど、
 それさえ塗り替えていくたくさんの楽しいことを
 これからもしていくから、
 漆塗りみたいに渋く
 ふうふで
 いれたらいいな
 なんて 私は思うのだけれども

                     0926


 揺れている砂浜を歩いている。
 だから砂も水の端からさらさらと零れていった。
 体温の下がる距離をゆっくりと埋もれていく。
 明け方、私たちの肩に積もった残像を払い落として、
 来た道をひき返して行く、翻る一瞬、川に映った朝日が
 照らし始めた光景を浮かべて、言う。

                     
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