踏み切りを待つ/カンチェルスキス
踏み切りを待つおれはばつの悪い思いをしている
おれは焼酎の入ったスーパーの袋を提げている
おれの後ろには車の列が何台か続いて
犯罪者を追跡して喜ぶ公僕のように
執拗におれの背中をライトで照らしている
車の中で明滅するちっちゃなテレビのニュース画面
電車は来るつもりがあるのかないのか
上りも下りの矢印も赤く点灯している
踏み切りの棒の黄色と黒を交互におれは目で追っていく
最後は黒で終わり、おれは踏み切りのを音を聴くのを忘れてた
踏み切りの棒からぶら下がっている 「しばらくお待ちください」の札
おれは通過する車輪を見ている おれは待ってい
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)