静脈(匂う)/
伊葉幸緒
肉が張り裂けている沈黙
情熱と諦めと冗談
焦げ臭い髪に放つ汚物
刺絡するのは御自由に
膚の皺にすらりと絵具
筆を使って詰る様にゆるりと
御覧よ、右腕が青い
血脈をなぞり腋へ乳房へ心臓へ
帰るのは自由
振り返らないで
いつでも腕を晒すよ
悪意の雲が沈黙を誘うのは仕方がない
同情誘う涙も小道具
怪しいのは君の嗅覚
あたしの乳房は甘いらしい
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