こがね ゆくえ ?/木立 悟
 




舟に舟のかたちに溜まり
宙を照らしかがやくもの
とくりとくりと
輪を描くもの


風が散らす雪のまわりに
道を創る歩みのまわりに
かがやくこがねの波があり
涙を涙に打ち寄せている


何もないということもなく
何かがあるということもなく
ひびきは生まれひびきに抱かれ
器の内と外の色を得る


新しいものはしゃにむに分かれ
見る間に唱になってゆく
遠くへ遠くへ引き離される
そのかけらまでもがかがやいてゆく


まるいものがまるさを憎み
ほてりほてりと捨てゆくとき
灰のなかに消え去ろうとする
小さな炎の柱を見るとき


さみしくきれいなものたちが
さみしくうつろなものたちへ降る
さみしさもうつろさも
ただそのままにそのままに鳴る


しずくを紙にしみこませ
くちびるにくちびるを描くとき
行方なきこだま
こがねなるもの


唱の終わりとはじまりのほころび
目を閉じることで縫い合わせ
奈落の底へ流れる空が
枝になり火になり微笑むを見る













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