居眠りする地上の家々の/凛々椿
 
ごがごががががが と
不器用な話し方で

 戻ろう

午後を少し回る時
留め具が外れて
花びらがばらばらと空に飛び出した
そんな夢を見た

野良猫のちょっとした仕草だとか
雲の名前とか
あの人は今何をしているのか
とか
知らないことがたくさんある
知りたいことがたくさんある
知りたくないことも
今日も三字橋のたもとには包帯靴の老人が座り
国道は車輪でせわしなく削られ
街路樹には鳥が集い
そして私はこれから元に戻って
弱々しく呼吸を続けていくのだろうけど

でも
少しだけ変われるだろう





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